
現代人の脳疲労について
休日に休んだのに、なかなか疲れが取れない・・・と感じたことはありませんか?もしかしたら、脳の疲れが原因かもしれません。
人間の脳には大脳新皮質と大脳辺縁系という司令塔があります。大脳新皮質は思考や学習などの精神活動を、大脳辺縁系は食欲や性欲などの本能や情動を司っています。また大脳の下方の位置には、自律神経中枢を司る間脳があります。間脳は、心臓が一定のリズムで動く、適切にエネルギーを体に入れるための食欲をコントロールするなど、意識せずに体の維持機能を司る脳です。この3つの関係性は、人間の体を機能させる高度情報処理システムと言えます。
この高度情報処理システムを上回る「情報」が入ってきたら、どうなるでしょうか。まず大脳辺縁系が機能不全を起こし、それが大脳新皮質にも影響を及ぼします。やがてその影響は、自律神経を司る間脳にも達し、脳全体の働きが鈍ってしまう状態を引き起こします。これがいわゆる「脳疲労」の状態です。文字通り、脳が疲れていて、正常に脳が働かなくなっている状態を指します。
この原因として「ストレス」と「情報過多」が挙げられます。現代社会はストレス社会と言われていますが、仕事や家庭でストレスを抱えている人が増えています。精神的ストレス(人間関係や社会不安など)や化学的ストレス(農薬、食品添加物、栄養の過不足)、物理的ストレス(騒音、温暖差、放射線など)、生物学的ストレス(細菌、ウイルスなど)これら様々なストレスを継続的に抱えることによって、脳の処理が刺激に対して追いつかず、機能不全に陥ってしまうのです。
テレビや新聞、雑誌、ラジオに加え、インターネットとスマートフォンの普及によって、情報が光の速さで飛び交い、現代人の1日に触れる情報量は莫大に増えました。スマートフォンで情報を入手するのが日常になっている人も増えています。その量は、1996年から2006年の10年間だけでも530倍に増えました。現代人が1日に受け取る情報量は、江戸時代の人の1年分、平安時代の人の一生分とも言われています。
入ってきた情報は脳内で処理を行うため、1つ1つの問題に対する早い判断が求められたり、その情報処理に脳が追いつかなかったりすると、大容量の情報処理を一気に行うことになり、脳は処理しきれずにオーバーヒート状態となり、脳疲労を起こしてしまいます。
テレビを見ながらスマートフォンでメールを送るなど、同時にあれこれ違った行動を取る「マルチタスク」も脳疲労の一因となります。料理を何品か同時に作ったり、洗濯しながら掃除機をかけたりするのは、「脳トレ」になりますが、パソコンの作業をしながらスマートフォンをチェックするといった「メディアマルチタスク」は、特に脳を疲弊させます。
脳疲労の兆候となる症状は3つあり、「便秘」「睡眠障害」「味覚障害」であると言われています。特に味覚障害のように五感に関する症状が多く、「食事をしても味がわからない」「聞こえづらい」「臭覚が鈍る」「目がかすむ」などは、脳疲労が始まっているサインでもあります。また「集中できない」「考えがまとまらない」なども脳疲労による認知異常がスタートしている可能性があります。
あなたの現時点での危険度をチェックしましょう。
行動チェック | |
□ スマホはいつも手元にスタンバイ | □ スマホ以外で調べものをしない |
□ 時間が空いたらスマホを取り出す | □ いつも時間に追われている |
□ 疑問が浮かんだら、すぐ検索 | □ 情報に乗り遅れることが怖い |
□ 覚えておくために「写真」を撮る | □ 着信音やバイブレーションの空耳がいつも聞こえる |
□ スマホなしでは初めての場所に行けない | □ 夜、布団の中でスマホをみている |
脳チェック | |
□ ここ数年、物忘れが増えた | □ 「話題のニュース」3つ挙げられない |
□ 知っている人の名前がすぐ出てこない | □ 最近、漢字が書けなくなった |
□ 何かを取りに来て、その目的を忘れる | □ 最近、簡単な計算を間違える |
□ 約束をド忘れする | □ 検索すれば分かることは覚えない |
□ 3日前、何していたか思い出せない | □ スマホに頼り、道を覚えられない |
心身健康チェック | |
□ 頭も体も、いつも疲れている | □ やる気が起きず、興味も湧かない |
□ イライラして、感情を乱す | □ すぐ落ち込む |
□ いつも睡眠不足状態 | □ 段取りが悪くなった |
□ 体中に様々な不調を抱えている | □ 最近、あまり笑っていない |
□ 集中できず、凡ミスが増えた | □ 季節の移り変わりに鈍感になった |
いくつ当てはまりましたか?
20個以上当てはまれば「危険度大」、10個以上は「危険度中」です。
【脳疲労の回復方法と関連する栄養素】
【1】 しっかり睡眠を取る
睡眠の質を高めたり入眠を改善する成分は、GABA、グリシン、テアニン、トリプトファン、バレリアンなどです。
【2】 バランスの摂れた食事を心掛ける
一汁三菜の和食を心掛け、脳細胞の材料となるK・リゾレシチン、DHA/EPAが有効です。ストレスケアとしてビタミンB群なども良いでしょう。