不安症について
今、不安を感じている人が増えています。自然災害や物価高、世界で起きている紛争など、私たちが未来に対して、漠然とした不安感があるのも仕方がないと言えるでしょう。しかし、不安は本来、脅威や精神的ストレスに対する正常な反応です。正常な不安感は、恐怖に根ざしており、生き延びるための重要な機能として働きます。私たちが危険な状況に直面すると、不安が引き金となって、闘うか逃げるかの反応(闘争・逃走反応)が誘発されます。この反応により緊張感が走り、心臓や筋肉への血流量が増えて、体に様々な変化が応じ、襲ってくる動物から逃げる、攻撃者を撃退するといった、生命を脅かす状況に対処するために必要なエネルギーと力が体にもたらされます。しかし以下の場合は、精神障害と診なされる場合があります。
■不安感が頻繁に生じる場合
■日常生活に支障をきたすほど不安が強く、長く持続する場合
不安症は、他のどの種類の精神障害よりも多く診られ、米国の成人の約15%にこの精神障害があります。強い不安が何円も持続することで、それが普通のことのように感じられ始める人がいるのも事実です。このような理由から、不安症はしばしば診断されず、治療されないケースも多くあります。

■分離不安
愛着のある保護者から離れる時に、不適切なほどに強い不安を感じる状態を指します。多くは子供に生じますが、大人でも生じることがあります。
■眼局性恐怖症
特定の人や動物、状況に直面すると、強い不安や恐怖を感じることを指します。また直面するとことへの不安のために、そうした対象や状況を回避するようになる状態を指します。その恐怖からの回避は、実際に危険に比べて不釣り合いなほど大きく、生活の支障になります。
■社交不安症
他の人々の前に出て注目されたり、話をしたり、評価される状況に対して強い不安を感じ、そうした状況を避けるようになります。恥ずかしい、悪く思われているといった悪い方向に考えてしまうことが多く診られます。親しい人や自分に関心を持たない人の前では、不安が生じないこともあります。
■パニック症
急激な不安と同時に、動悸などの身体症状を伴う「パニック発作」が突然生じます。そのために行動が制限されたり、発作が起きるのではないかという予期不安が生じ、生活に大きな支障が生じます。パニック発作は状況によって予想できるものと、予想できないものがあります。また特定の物質の使用や治療薬、うつ病などの他の精神疾患に伴って生じることもあります。
■広場恐怖症
不安になった時にすぐに逃げられないような、家の外の状況に対する不安があります。広場、公共交通機関、建物の中、一人で外出することなどが含まれます。そのような状況を回避したり、付き添いを必要としたりします。
■全般性不安症
はっきりした対象ではなく、色々なことに対して次々と過剰な不安を生じる状態です。安心できない状態が継続し、常に落ち着かず、ソワソワとしていて疲れやすくなります。またイライラして集中力がなくなります。
■物質・医薬品誘発性不安症
アルコールやカフェインなどの物質使用や治療薬によって生じる不安です。
【薬に頼らない対処方法】
カフェインの摂り過ぎに注意
まずはカフェインの摂り過ぎに注意して下さい。お酒や煙草に比べると、カフェインのリスクはあまり知られていませんが、カフェインの摂り過ぎで不安が悪化することもあるため、少しずつ減らしましょう。
呼吸法をマスターしよう
不安になった時には、ネガティブなことを考えたり、体の反応が起きたり、思わず行動が影響されてしまうこともあります。呼吸法を行うことは不安の軽減に有効です。鼻からの呼吸を意識して深呼吸をするように心がけましょう。深くゆっくりと息をすると、副交感神経がスムーズに働き、ホルモン分泌や免疫の働きが正常になり、不安を和らげることができます。また腹式呼吸にもチャレンジしてみましょう。

感情をコントロールする神経伝達物質を知ろう
感情面の調和では3つの神経伝達物質セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンが重要です。これらは互いに影響を与え合っていますが、特にセロトニンはドーパミンやノルアドレナリンの暴走を抑えてコントロールを行うため、心のバランスを取る司令塔的な役割を担います。不安症の解消には、これら3つの神経伝達物質のバランスを取る「K・リゾレシチン」やセロトニンを生成する材料となる「トリプトファン」や「ビタミンB群」、抑制系の神経伝達物質である「GABA」は、睡眠の質の向上や不安低減に効果を発揮します。また気力の低下や精神安定には「DHA/EPA」、神経細胞間のネットワークを円滑にする「糖鎖」などの摂取がおすすめです。栄養バランスのとれた食事を心がけ、不足分はサプリメントなどで補うようにしましょう。











