幸せホルモン「セロトニン」で心を健康に

喜びや悲しみ、イライラや不安。様々な感情がわたしたちの中には潜んでいますが、それらは脳内物質(ホルモン)のよって左右されていることを知っていましたか?
例えば、受験やプロジェクト達成などの目標のために奮起する、「当たり」がでるまでくじ引きやガチャガチャを引き続けてしまう…一見すると正反対にみえますが、実はどちらも同じ脳内物質ドーパミンの働きによって起こると言われています。
快楽物質といわれる「ドーパミン」は、頑張ったことに対してご褒美的に「快さ」「意欲」をもたらすホルモンです。そのため、仕事で成功を収めた、勉強してわからない問題が解けるようになった、など適切な頑張りに対して適切な量が分泌されている分には、努力を継続する・自分を高みへと導くなどプラスの要素があります。
しかし、分泌量が増えすぎてしまったり、頑張りに対して望んだ結果が得られなかったりすると、心のバランスを崩してしまうこともあります。
その他にも集中力を高めて臨戦態勢に備える「ノルアドレナリン」など、心の状態を左右するホルモンが複数あります。それぞれ、多すぎても少なすぎても、心の病の原因になってしまうことがあります。
なかでも、脳内ホルモンのバランスを取り、平常心を維持するために働くのがセロトニンです。セロトニンは、快感や喜びを司るドーパミン、不安や恐怖・怒りを司るノルアドレナリンのバランスを調整する役割があるのです。
現代は、スマートフォンをはじめとする電子機器が生活をする上でなくてはならない存在になっています。インターネットを開けば、政治やスポーツの新着ニュースにはじまり、新商品のプレスリリース、可愛らしいペットの動画に至るまで、指先ひとつで淀みなくアクセスできる環境です。そのように、次から次へとたくさんの情報に晒されている脳は、今までにない新しいタイプのストレスを生み出していると言われています。
加えて、インターネットやスマートフォンの普及により生活様式も変化してきました。家に出ないまま、時間を気にせず買い物することができ、映画館に行かずとも映画や動画、多様なエンタメに触れることができます。便利で豊かな時代だと捉えることもできますが、一方で脳には疲労が蓄積され、セロトニン神経が活性されなかったり、ショート動画のような目まぐるしい刺激が続くことでドーパミンが過度になっていたりしていることも少なくないといいます。
精神安定作用
- ドーパミンやノルアドレナリンなどの分泌量を調整し、精神を安定させ、気分を明るくする。
ストレスへの耐性
- 興奮を鎮め安心感をもたらし、攻撃性を抑制する
睡眠・覚醒リズムを担う
- 睡眠ホルモンである「メラトニン」はセロトニンから作られる。睡眠をはじめとした体内時計の調整を担っている。
消化管の運動
- 腸の蠕動運動の調整や粘膜からの水分分泌などで、便通をスムーズする。
痛覚やかゆみに関与
- 痛みを抑制する働きがあり、不足すると痛みを強く感じやすくなります
セロトニンは「太陽光を浴びる」「身体を動かす」「他者と触れ合う」などで分泌が増えると言われています。しかし、インターネットなどのオンライン活動が活発になればなるほど、生活リズムが昼夜逆転になる・実際に会うことなく他人とコミュニケーションがとれる・家から出なくても仕事ができるなど、セロトニン神経を弱らせる条件がそろってしまい、結果的に脳のバランスを崩しやすくなります。
現代においては、意識的にセロトニンを増やすよう習慣づけることが望ましいでしょう。
- 日光を浴びる
- 起床後、太陽の光をしっかりと浴びましょう。セロトニンは2000~3000ルクスほどの強い光によって活性化します。一般的な家庭用の蛍光灯は500ルクス程度ですので、できるだけ屋外に出て直接日光を浴びるのがおすすめです。
- リズム運動をする
- 一定のリズムを刻む運動が効果的だと言われています。ウォーキングやジョギング、サイクリングなど全身を使う運動を、毎日続けられる強度で取り入れましょう。
- トリプトファンを多く含む食事をとる
- セロトニンの材料は、必須アミノ酸であるトリプトファンです。バナナや鶏肉、大豆製品、卵などに多く含まれています。











