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オーガニック・無農薬・有機栽培の違い。あなたは説明できますか?

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「オーガニック」「無農薬」「有機栽培」——スーパーでもネットでもよく目にする言葉ですが、実はそれぞれ意味が違います。気候変動がめまぐるしく供給が安定しない中で、国産ではない野菜や果物・米がスーパーでも多く並ぶようになりました。安心して食材を選べるよう、この違いをきちんと理解しておくことは大切です。

 

そもそも農薬とは?

「農薬」とは、作物を病気・虫・雑草などから守るために使うもののことです。

ふだん思い浮かべる“化学の薬”だけでなく、自然の力を利用した“生き物(天敵)”を使うものも、広い意味では農薬に入ります。

身近な例で言うと

  • 植物の病気を防ぐ「殺菌剤」
  • 虫を防ぐ「殺虫剤」
  • 雑草を抑える「除草剤」

などが、よく使われる代表的な農薬です。

 

農薬は成分によって2つに分けられます。

    • ①化学的に合成された農薬

→ 化学の力でつくられた薬で、一般的に使われるタイプ。
(特別栽培では“節減対象農薬”と呼ばれ、使用量の制限対象になります)

    • ②有機JASで認められた天然由来の農薬

→ 天然の鉱物や植物、微生物などを利用した、自然由来の防除資材。
(例:木酢液、天敵の虫、硫黄や石灰など)

つまり、「農薬」と一口に言っても化学合成されたものだけでなく、自然の仕組みを利用したものも含まれます。化学的に作った薬を減らして、できるだけ自然の力で育てることが、有機栽培や特別栽培の考え方につながっています。

 

 

無農薬とは?

昔はよく「無農薬」という言葉が使われていましたが、2004年以降は、農作物に表示して販売するのは禁止されています。現在では、「農薬不使用」「特別栽培農産物」などの表記が使われています。

農薬不使用とは、栽培期間中、農薬が使われていない野菜のことで、特別栽培農産物とは、その地域でふつうに使われている量と比べて、農薬も化学肥料も半分以下に減らしてつくった作物という意味です。

 

有機栽培とは?

化学的な農薬や肥料、遺伝子組み換え技術に頼らず、自然の力を生かして育てる栽培方法のことをいいます。

国が定めた厳しい基準(有機JAS)を満たす農産物をいいます。化学肥料や農薬の使用制限だけでなく、土づくり・栽培方法・加工・輸送に至るまで管理体制が義務付けられています。有機JASマークがついている=第三者による認証済みということになります。

有機栽培の例

  • * 種をまく2年以上前から、その土地で化学農薬や化学肥料は使えない。
  • * 肥料は、化学肥料ではなく堆肥や有機質肥料を使う。
  • * 害虫や病気の防除も、自然の仕組みを利用(天敵や天然成分など)。
  • * どうしても必要な場合のみ、国が定めた厳しい基準下で合成農薬を限定使用する。

 

オーガニックとは?

“有機”の英語訳として使われます。野菜や果物に表示があれば「有機栽培」と解釈できます。それ以外にも、日本ではやや広い意味で使われています。「添加物を避ける」「環境への配慮」「動物福祉」など、ライフスタイル全体に関わる概念として使われることもあるので、どのような意図で表示がされているか確認することが大切です。
比較まとめ表

項目 無農薬 有機栽培 オーガニック
定義 農薬を使っていない(現在は表示不可) 国の有機JAS基準を満たす 有機栽培+ライフスタイル理念
認証制度 なし 有機JAS 任意(ブランド・海外認証など)
主な関心軸 農薬の有無 土と生態系の健康 人・地球全体の健康

 

“知って選ぶ”が、いちばんの健康

栽培方法が多様化し、様々な種類の食材を手に取ることが容易になった現在、どれが「正しい」ではなく、自分の価値観に合う選択をすることが大切だといえます。どの農法にも、それぞれのよさがあります。
化学肥料や農薬を上手に使う慣行農法があるからこそ、病気や害虫、そして最近では熊の被害や水害・異常気象など過酷な環境がある中でも、農作物の安定供給が叶っています。農家の方々のそれぞれの努力が、現在の豊富な日本の食卓を支えると言えるでしょう。

「有機」や「オーガニック」を選ぶというのは、そんな多様な農業の中から、自分の価値観で選ぶ一つの方法です。どれが正しいか、ではなく正しく“知って”、自分の基準で選べることが大切です。

 

2025.11.14
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